この講で学習すること
・仮払消費税と仮受消費税を使った期中の会計処理方法
・期末決算時の消費税の会計処理方法
・消費税納付時の会計処理方法

期中(商品販売時)の消費税処理方法

【設例】
(1)商品¥10,000を販売し、代金は掛けとした(三分法)。

【仕訳】
(借)売掛金 10,000
/(貸)売 上 10,000
これは、3級までの仕訳。
2級では、

【設例】
(1)本体価格¥10,000で商品を販売し、代金は掛けとした(三分法)。ただし消費税率は10%で税抜方式で処理する。

になります。
ここで売掛代金は、消費税分も含めて請求します。
ですから、売掛金は消費税分も含めて
(借)売掛金 11,000
となります。

では貸方は?

売上収益としてフトコロに入れられるのは本体価格の¥10,000だけであり、¥1,000分はお客さんに代わって納付するために預かっている状態の消費税分です。
そこで仕訳は、

(借)売掛金 11,000
/(貸)売   上 10,000
/(貸)仮受消費税   1,000

となります。

なぜ「預り」じゃなく「仮受」なのか

なぜ「預り消費税」ではなく、「仮受消費税」なのか?

それは、この¥1,000をそのまま納付するのではなく、逆に支払った仮払い分の消費税と精算して、納付すべき消費税額が決まるのであって、今はまだ納付すると確定したわけではないからです。
もし、仮払消費税の方が仮受消費税よりも多ければ、納付ではなく逆に還付(払い過ぎた税金が還ってくること)にもなります。
なので、源泉所得税のように「預り金」ではなく、「仮受」なのです。

期中(商品仕入・調達時)の消費税処理方法

【設例】
(2)本体価格¥7,000の商品を仕入れ、代金は掛けとした(三分法)。ただし消費税率は10%で税抜方式で処理する。

当方が支払わなければならない「買掛金」は、やはり消費税を含めて請求されるので、
/(貸)買掛金 7,700
です。
では借方は?
売上時と同様に、本体の仕入分と、消費税の仮払い分を分けて

【仕訳】
(借)仕   入 7,000
(借)仮払消費税  700
/(貸)買 掛 金 7,700

となります。

以上のように、仕入(購入)・売上と仮払消費税・仮受消費税とを分けて、仕入原価(調達原価)や売上収益に、消費税分は含めない処理方法を「税抜方式」といいます。

期末決算時の消費税の会計処理方法

さて、期末決算日を迎えると、「仮受」「仮払」を精算しなければなりません。
どのように仕訳をするのか?

【設例】
(3)本日決算日につき、消費税の処理を行う。ただし、期中の取引は上記の(1)(2)のみであった。消費税率は10%で税抜方式で処理するものとする。

まず、借方にある仮払消費税の残高と、貸方にある仮受消費税の残高を、反対仕訳で消去します。
(借)仮受消費税 1,000
/(貸)仮払消費税 700
当然、貸借が一致しません。
貸方を埋める差額¥300は、何になるでしょうか?

これが、後日納付しなければならない負債「未払消費税」になります。

【仕訳】
(借)仮受消費税 1,000
/(貸)仮払消費税 700
/(貸)未払消費税 300

消費税納付時の会計処理方法

【設例】
(4)上記(3)の消費税の未払い分について、本日現金で納付した。
【仕訳】
(借)未払消費税 300
/(貸)現   金 300

さて、ここまで、わかりやすくするために取引数を売り上げ1件、仕入れ1件だけの例で決算整理、納付を見てきましたが、実際には仕入や売上が1件ずつのわけがありません。
1日単位でも、何件、何十件と仕入(購入)や売上が計上されることもあるでしょう。
そのたびに仮払消費税・仮受消費税を別建てしていると、仕訳の行数もそれだけ倍加されるわけです。

もっとカンタンにシンプルにできないものか?
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正式な消費税の会計処理方法(税抜方式)のまとめ
・仕入・購入時の消費税分は「仮払消費税」、売上時の消費税は「仮受消費税」に分けておく
・決算整理では、仮受消費税と仮払消費税を引いて、納付額を決定し「未払消費税」とする