この講で学習すること
・2級の貸借対照表は?
・流動と固定を分けるものは?
・正常営業循環基準とは
・1年基準とは

2級の貸借対照表は?

前講でご紹介したように、日商簿記2級で学習する報告式の損益計算書は、3級で学んだ勘定式の損益計算書とはエライ違うものでした。
では、貸借対照表はどうでしょうか?
答えは、同じです。
左半分が資産で、右半分が負債と純資産のヤツです。
しかし、その資産や負債、純資産の中身が少し細かくなります。

貸借対照表

 

 

 

 

 

 

 

資産や負債の内訳として、それぞれ流動資産固定資産流動負債固定負債、というように、流動と固定に分かれていることにお気づきでしょうか。

3級でも「固定資産」というコトバは当たり前のように使ってきているので、なんとなく「固定的であまり動かないもの」ぐらいには理解できていると思いますが、では流動負債や固定負債と言われたら、どう区別すればいいのでしょうか?

流動と固定を分けるものは?

このように、流動と固定を分ける基準として、次の2つの基準を覚えてください。

資産と負債を流動/固定に分ける基準
1 正常営業循環基準
2 1年基準

正常営業循環基準とは

資産や負債を流動か固定かを分ける際には、まず先に、「正常営業循環基準」を当てはめて判断します。
正常営業循環基準とは、通常の営業活動の循環において生じる資産や負債を、流動資産や流動負債とするという基準です。
「循環って?」
例えば、商業簿記で取り扱う一般的な商業の場合、株主から出資された現金や普通預金、当座預金を使って商品を仕入れ、それを売って、売掛金や受取手形に姿を変え、それらが決済されてまた現金や預金になり、次の商品を仕入れ・・・
といった、通常の商売の循環に登場する
現金・普通預金・当座預金・商品・売掛金・受取手形
などが、流動資産にグルーピングされます。
また、資産だけでなく、商品仕入に伴って発生した負債である買掛金や支払手形も、通常の営業活動で生じる負債なので、流動負債にグルーピングします。

この基準で判断すると、未収入金や貸付金などは固定資産に、未払金や借入金などは固定負債になっちゃいますが、次に「1年基準」で判断します。

1年基準

1年基準とは、
資産であれば、1年以内に現金(預金)化できるものは流動資産、1年超のものは固定資産
負債であれば、1年以内に現金(預金)による支払いを要するものは流動負債、1年超のものは固定負債
とする判断基準です。

つまり、先の正常営業循環基準で流動資産や流動負債と判断されなかった未収入金や未払金、貸付金や借入金も、この1年基準により、1年以内に入金または支払となるものは流動資産や流動負債、1年を超えて入金、支払するものは固定資産(長期未収入金・長期貸付金)や固定負債(長期未払金・長期借入金)となります。

また、仮に耐用年数が1年を切っている建物や機械装置、備品であっても、もともと換金目的でないものは、固定資産になります。

さて、以上で資産の部と負債の部の流動・固定は学習しましたが、残る純資産の部は?
次講で学習します。

▶▶▶次講「なぜ細かい?純資産の部」へ

日商簿記2級の貸借対照表~流動と固定のまとめ
・貸借対照表の資産の部と負債の部はそれぞれ、流動資産と固定資産、流動負債と固定負債に分かれる
・流動/固定を分ける基準は、まず(1)正常営業循環基準を当てはめ、流動にならなかったものについて次に(2)1年基準を当てはめて判断する