この講で学習すること
・200%定率法とは~何の200%なのか?
・200%定率法で減価償却していくと・・・
・200%定率法でも万事うまくいかない

200%定率法とは

「200%定率法」と聞いて、知らなければ何のことか予想もつきません。
しかし、だからこそ、これからの日商簿記2級固定資産のメインテーマとして出題されることでしょう。

では何が「200%」なのか?
答えは、定額法の償却率の「200%」つまり2倍という意味です。

定額法の償却率って覚えていますか?

「1/耐用年数」

でしたね。
(参照:定額法による減価償却

耐用年数が4年であれば、1/4つまり0.25、耐用年数が5年であれば1/5つまり0.2ずつ、もともとの取得原価を減価償却していくわけでした。
つまり、これらの2倍の償却率で減価償却していくのが、200%定率法による減価償却というわけです。

200%定率法による減価償却(具体例)

それでは、これまでと同じ設定の例として、取得原価10万円、耐用年数5年の固定資産を、200%定率法で減価償却していくとどうなるか、具体的に見ていきましょう。

まず、定額法の場合の償却率を求めます。
1÷耐用年数=1/5=0.2でした。

200%定率法では、これを2倍にするので、「0.4」が償却率になります。
毎年、未償却残高の40%ずつ減価償却していくわけです。

200%定率法による減価償却

このやり方だと、本来の定率法(旧定率法)の36.9%の償却率で減価償却した場合と似たスケジュールになっています。

つまり、200%定率法は、本来の定率法のように正確な償却率を対数計算しなくても(手もとに償却率の表がなくても)、定額法の償却率からカンタンに償却率を出せる、簡便法としての性質のものなのです。
決して、難しくしようとしているわけではなく、カンタンにしようとしているものだったんですね。

200%定率法の問題点

さて、耐用年数(5年)経過したところに注目してください。

200%定率法による減価償却

毎年、未償却残高の40%ずつ減価償却していったところで、最後5年経過後に7,776円残っています。
残存価額(10%)よりは、減価償却していますが、目標の備忘価額(1円)には遠く及びません。
当たり前ですね。
前講で見たとおり、90%という高い償却率で減価償却しないと、1円にならなかったわけですから、たかだか40%程度の償却率では、到底1円にはなりません。

でも、耐用年数経過後に1円になるまで減価償却したい。

そこで、最後は強引に1円になるまで減価償却します。

それが、次の講でご紹介する「償却保証額」「保証率」「改定償却率」です。

200%定率法とは~まとめ
・200%定率法とは・・・定額法の償却率の200%
・やはり1円まで償却できない・・・耐用年数の最後は別の手段が必要

▶▶▶次講「償却保証額?保証率?改定償却率?・・・要するに最後は定額法ということ」へ

解ける!過去問レベル問題演習

次の取引について、下記の語群から勘定科目を選んで仕訳してください。
当社は、
本日(X8年3月31日)決算にあたり、保有している備品(X5年4月1日に¥800,000で取得、同日供用開始、耐用年数8年)の減価償却を200%定率法により行い、間接法により記帳する。なお、当社の会計期間は4月1日~3月31日の1年である。
(語群:備品・減価償却累計額・減価償却費)

>>>解答・解説はこちら(「スキマ簿記2級!【問題演習編】」へ)