この講で学習すること
・消費税の負担者と納付者
・事業者(会社)の立場での消費税の扱い
・付加価値税とは?
消費者から支払われた消費税の行方は?
【設例】
あなたは、A商店で本体価格¥10,000(税込¥10,800)の商品を購入し、代金は現金で支払った。
これまでの仕入やその他の購入、売上の取引では、消費税に関しては全く無視で良かったのですが、日商簿記2級ではさすがに消費税を考慮した会計処理が必要になります。
いや、3級レベルの個人商店だって、消費税はきちんと処理して納付しないといけないのです。
実務の上では、避けては通れない最重要な処理テーマです。
さて、設例に戻って、私たちが商品やサービスを買うとき、本体価格に加えて、消費税分も合わせて販売者に支払っています。
これは、本来は消費者が負担する税ですが、消費者に申告や納付をさせては、面倒で納付率も悪く徴税側の手間もかかるので、事業者側に預からせて、消費者に代わって納付させるという仕組みなのです。
したがって、課税免除事業者を除いて、消費者から受け取った¥10,800のうち、フトコロに入る(=売上収益になる)のは¥10,000分だけであり、¥800分は預かっておいて、後で納付しなければなりません。
従業員の給与から源泉徴収した所得税の扱いに似ていませんか?
事業者の支払った消費税の行方は?
ところで、消費税を負担するのは消費者だけではありません。
この設例のA商店ですが、税込み¥10,800で販売した商品が、実はB問屋から本体価格¥7,000(税込¥7,560)で仕入れたものであったら?
当然、A商店は消費税分¥560もあわせてB問屋に代金を支払い、消費税分も負担していることになります。
反対に、A商店に卸したB問屋の立場では、本体代金の¥7,000は売上収益に入れますが、¥560は預かるだけで、あとで申告して納付しなければなりません。
さらに、B問屋はこの商品を実はC事業者から本体価格¥5,000(税込¥5,400)で仕入れていたとしたら?
B問屋から支払われた¥5,400のうち、¥5,000分がC事業者のフトコロに入り、¥400分はC事業者が納付します。
付加価値税とは?
ところで、今度は納付を受ける国の立場から見てみましょう。
A商店から¥800
B問屋から¥560
C事業者から¥400
それぞれ消費税の納税を受けたことになります。
合計¥1,760です。
最終的に¥10,000(税込¥10,800)の商品になったものが、間に問屋やら事業者が介在すると、取引のたびに消費税が発生して、商品原価の2割近くが税金?という事態になってしまいます。
こうならないために、つまり税金が二重、三重に課税されないよう、あくまでも最終価格の¥10,000に対する8%分の税収になるような仕組みになっています。
どういうことかというと、A事業者は消費者から消費税分¥800を預り、仕入先B問屋に¥560消費税分として支払っています。これを差し引きして、¥800-¥560=¥240だけ、納付することになります。
B問屋では、A商店から預かった¥560から、C事業者に支払った¥400を引いて、¥160を納付
C事業者では、B問屋から預かった¥400を納付
これらを合計すると、
¥240+¥160+¥400=¥800
というように、最終販売価格¥10,000のちょうど8%になります。
どうしてか?
実は、販売先から預かった消費税分から、自分が支払った消費税分を引くというのは、自分のところで付けた付加価値に対して、消費税を計算していうことになります。
例えば、A商店は、¥7,000で仕入れた商品を¥10,000で販売しました。
ということは、A商店が付けた付加価値は¥3,000です。この8%(=¥240)が、実質的にA商店が納付した消費税です。
同様に、B問屋の乗っけた付加価値¥2,000に対して8%の¥160
C事業者の付加価値¥5,000に対応した8%の¥400
となるわけです。
それでは、以上の消費税の処理を、実際の会計処理・仕訳ではどうやるのでしょうか?
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