この講で学習すること
・子会社と関連会社の違いとは?
・関連会社と関係会社の違いとは?
・親会社と子会社・関連会社の関係
子会社と関連会社とは
子会社=親会社が支配している会社
関連会社=親会社が影響力を及ぼしている会社
・・・と、これだけでは抽象的なコトバのニュアンスだけで、はっきりと違いがわかりません。
具体的には
子会社=全発行済み株式の50%超を、親会社が所有している会社
関連会社=全発行済み株式の20~50%を、親会社が所有している会社
と覚えておきましょう。
これだけでは、単なる丸暗記なので、説明を加えておきます。
株式会社というのは、株主総会において、株主の過半数の決議により意思決定がなされます。
「株主の過半数」というのは、株主の人数ではなく、株主の保有している株式(出資)の過半数です。
したがって、全発行済み株式の過半数を保有すれば、他の株主が全員反対でも、単独過半数で親会社の意向が全てとおります。
一方、全発行済み株式の20%~50%では、単独過半数はとれないかもしれませんが、大株主として影響力はもっています。
親会社と子会社の関係(B/S上)
次に、親会社と子会社の関係を、会計上どうなっているかについてですが、仕訳のイメージでいうと、
【親会社】
(借)子会社株式XXX
/(貸)現金・預金XXX
【子会社】
(借)現金・預金XXX
/(貸)資 本 金XXX
親会社側から見れば、資産である現金・預金から出資金を支出し(貸方)、子会社株式(支配株主としての権利)を得る(借方)
子会社側から見れば、親会社から出資金を受けて現金・預金が増え(借方)、それを資本金の増加(貸方)とする
この関係を、貸借対照表で見れば、次のとおりです。
ポイントは、子会社側の「資本金」の過半数を、親会社の出資分が占めているということです。
親会社と関係会社の関係(B/S上)
親会社と関係会社の関係についても、子会社と同様の出資関係ですが、親会社の出資が関係会社側の「資本金」の過半数には至らず、20%~50%という点だけが、子会社との違いです。
子会社株式・関連会社株式の設例
【設例】
(1)当社は、エスシャ株式会社の株式1,000株を@¥2,000で取得し、代金は小切手を振り出して支払った。なお、エスシャ株式会社の発行済み株式総数は1,500株である。
(2)当社は、エスシャ株式会社の株式1,000株を@¥2,000で取得し、代金は小切手を振り出して支払った。なお、エスシャ株式会社の発行済み株式総数は3,000株である。
【合格直結の考え方】
(1)では、発行済み株式総数1,500株の2/3(当然過半数)を取得したので、子会社株式になります。
(2)では、発行済み株式総数3,000株の1/3(33%:20%~50%の範囲内)を取得したので、関連会社株式になります。
【仕訳】
(1)
(借)子会社株式 2,000,000
/(貸)当 座 預 金 2,000,000
(2)
(借)関連会社株式 2,000,000
/(貸)当 座 預 金 2,000,000
「関連会社」と「関係会社」
子会社と関連会社をひっくるめて、「関係会社」といいます。
そして、期中は持ち分割合に応じて「子会社株式」「関連会社株式」と使い分けますが、最終的に貸借対照表上は、両方合わせて「関係会社株式」として表示されます。
紛らわしいので、使い分けに注意してくださいね。