この講で学習すること
・連結会社間の貸付金・借入金の相殺消去
・連結会社間の貸付・借入に伴う利息の相殺消去
・連結会社間の利息の未経過分の相殺消去

連結会計でやること
1.開始仕訳(過年度分の連結修正仕訳の復元)
2.当該年度の連結修正仕訳
(1)のれんの償却
(2)子会社の当期純利益
(3)子会社の配当
(4)その他親子会社間取引の相殺消去
のうち、この講では(4)その他親子会社間取引の相殺消去について学習します。

連結会社間の貸付金・借入金の相殺消去

前講で学習した連結グループ会社間の売上・仕入と同様に、連結グループの親会社・子会社間での貸し付け・借り入れについても、連結グループを1つの会社とみなす連結財務諸表上、自分から自分への貸し付け・借り入れという意味合いになってしまうため、連結財務諸表上は相殺消去してあげることになります。

【設例1】
P社はX2年3月31日(X1年度末)に子会社であるS社に対し、貸付期間3年で¥10,000の貸し付けを行った。
X1年度の連結修正仕訳をしなさい。
(P社の会計期間は4月1日~3月31日の1年間)

【X1年度末の連結修正仕訳】
(借)長期借入金 10,000
/(貸)長期貸付金 10,000

【合格直結の考え方】
・親会社であるP社のB/Sには債権(資産)として借方に長期貸付金¥10,000が計上されているので、貸方に反対仕訳。
・子会社であるS社のB/Sには債務(負債)として貸方に長期借入金¥10,000が計上されているので、借方に反対仕訳。

連結会社間の貸付・借入に伴う利息の相殺消去

【設例2】
P社はX1年4月1日に子会社であるS社に対し、貸付期間3年で¥10,000の貸し付けを行った。
年利率6%、利払日は9月末日と3月末日の年2回である。
X1年度の連結修正仕訳をしなさい。
(P社の会計期間は4月1日~3月31日の1年間)

【X1年度末の連結修正仕訳】
(借)長期借入金 10,000
(借)受取利息     600
/(貸)長期貸付金 10,000
/(貸)支払利息     600

【合格直結の考え方】
利息が生じる場合、元本(貸付金・借入金)の反対仕訳のほかに、
・親会社であるP社のP/Lには収益として貸方に受取利息¥600(=元本¥10,000×年利率6%)が計上されているので、借方に反対仕訳。
・子会社であるS社のP/Lには費用として借方に支払利息¥600が計上されているので、貸方に反対仕訳。

連結会社間の利息の未経過分の相殺消去

【設例3】
P社はX1年7月1日に子会社であるS社に対し、貸付期間3年で¥10,000の貸し付けを行った。
年利率6%、利払日は6月末日と12月末日の年2回である。
X1年度の連結修正仕訳をしなさい。
(P社の会計期間は4月1日~3月31日の1年間)

【X1年度末の連結修正仕訳】
(借)長期借入金 10,000
(借)受取利息     450
(借)未払費用     150
/(貸)長期貸付金 10,000
/(貸)支払利息     450
/(貸)未収収益     150

【合格直結の考え方】
利息が生じる場合、元本(貸付金・借入金)の反対仕訳のほかに、
・親会社であるP社のP/Lには収益として貸方に7~3月分の受取利息¥450(=元本¥10,000×年利率6%×9か月/12か月)が計上されているので、借方に反対仕訳。
・子会社であるS社のP/Lには費用として借方に支払利息¥450が計上されているので、貸方に反対仕訳。

さらに、利息の未経過分(見越計上分)の相殺消去します。
つまり、

・親会社であるP社のB/Sには債権(資産)として借方に1~3月分の未収利息分が未収収益¥150(=元本¥10,000×年利率6%×3か月/12か月)に計上されているので、貸方に反対仕訳。
(ちなみに、なぜ1~3月分かは、前回の利払日12月末日から期末までの期間ということです。)

・子会社であるS社のB/Sには債務(負債)として貸方に1~3月分の未払利息分が未払費用¥150に計上されているので、借方に反対仕訳。

なぜ「未収利息」「未払利息」じゃなくて「未収収益」「未払費用」なのか?

B/S上の表示科目としては、未収利息や未収家賃、未収地代、未収手数料などひっくるめて「未収収益」にまとめられているのが一般的だからです。
「未払費用」も同様です。

連結会社間取引の相殺消去(2)貸付・借入と利息のまとめ
・連結グループの親子会社間で貸し付け・借り入れがあれば、連結修正仕訳として以下の相殺消去仕訳
(借)(短期or長期)借入金 10,000
(借)受 取 利 息       450
(借)未 払 費 用       150
/(貸)(短期or長期)貸付金 10,000
/(貸)支 払 利 息       450
/(貸)未 収 収 益       150

▶▶▶次講「連結会社間取引の相殺消去(3)貸倒引当金と繰入」へ