この講で学習すること
・預金の過不足?
・差異要因と仕訳例~帳簿を直す場合
・差異要因と仕訳例~帳簿を直さない場合

預金の過不足?

現金預金の分野では、現金に関しては2級で新たな出題範囲はなく、3級の既習テーマである現金の範囲(通貨代用証券)と現金過不足だけです。
一方、預金については、「銀行勘定調整表」が2級の出題テーマとして学習が必要です。
この銀行勘定調整表は、現金過不足と同じように、当座預金に関する帳簿残高と実際残高の差異の調整のためのものです。
当座預金の「実際残高」って?
銀行通帳の数字だと思ってください。

ただし、現金過不足の場合の処理と異なる点があります。

それは、現金過不足では必ず、帳簿残高を実際残高に合わせるわけでしたが、当座預金の場合、必ずしも当座預金勘定(帳簿)を、銀行残高に合わせるとは限らないことです。

もちろん、誤記帳・未記帳など、帳簿を修正すべき場合は修正しますが、銀行側の都合など、当社の帳簿の方を「正」とすべき場合は、修正しません(仕訳問題の場合は「仕訳なし」となります)。

つまり、当座預金勘定(帳簿)と銀行残高のギャップの原因による、ということです。

差異要因と仕訳例~帳簿を直す場合

【ケース1】誤記入

【設例】
(1)¥1,000の買掛金支払いのために小切手を振り出した際、誤って¥10,000と記帳していた。
(2)¥2,000の外注費支払いのために小切手を振り出した際、誤って¥200と記帳していた。

いずれも、当社側の記帳ミスなので、発覚した時点で修正します。
(1)は、当座預金を多く減らし過ぎてしまったので、差額の¥9,000分を戻しあげます。
(2)は、逆に少なく記帳していたので、差額分¥1,800を追加します。
【仕訳】
(1)
(借)当座預金 9,000
/(貸)買 掛 金 9,000
(2)
(借)外 注 費 1,800
/(貸)当座預金 1,800

【ケース2】未通知

【設例】
(3)¥3,000の手形代金の当座預金口座への振込みがあったが当社に未通知であった。
(4)¥4,000の水道料金の引落しが当座預金口座からあったが当社に未通知であった。

いずれも、当社のミスではありませんが、正しい状態を知った時点で、正しい状態に帳簿を修正します。
【仕訳】
(3)
(借)当座預金 3,000
/(貸)受取手形 3,000
(4)
(借)水道光熱費 4,000
/(貸)当座預金  4,000

【ケース3】未渡小切手

【設例】
(5)¥5,000の未払金の支払いのために振り出した小切手が未渡しのまま手元にあった。

未渡しに気づいた時点で相手方に小切手を渡してしまえれば、修正なんて必要ないんですが。
通常は決算整理でもう相手方に渡せない場合の想定です。
小切手を切ってない状態に戻します。
すなわち、当座預金勘定に戻します。
【仕訳】
(5)
(借)当座預金 5,000
/(貸)未 払 金 5,000

差異要因と仕訳例~帳簿を直さない場合

【ケース4】未取付小切手

【設例】
(6)¥6,000の小切手を仕入先に振り出したが、未だ銀行に呈示されていない。

確かに、小切手をもらった相手が銀行にもっていかなければ、いつまでたっても当社の銀行残高は減らないままです。
しかし、相手がいつ銀行にもっていくか、それを毎日フォローするのは大変です。
相手がいつ銀行で換金しようと、当社はあくまで振り出した時点で当座預金勘定(帳簿)を減らし、それを「正」とします。
【仕訳】
(6)
仕訳なし

【ケース5】時間外預入れ

【設例】
(7)¥7,000を銀行の夜間金庫に預け入れたが、銀行では翌日の当座預金入金として処理された。

これも、銀行の事務処理上のしくみから翌日付とされますが、当社はあくまで当日中に預け入れしたので、当社の帳簿を「正」とします。
【仕訳】
(7)
仕訳なし

さあ、次講では、これらのギャップ要因をもとに、具体的に銀行勘定調整表を作成します。

▶▶▶次講「銀行勘定調整表(基本フォーマット)作成法」へ

銀行勘定調整表~差異要因のまとめ
・【帳簿修正仕訳必要】
1.誤記帳 2.未通知 3.未渡小切手
・【帳簿修正仕訳なし】
1.未取付小切手 2.時間外預入