この講で学習すること
・代金の一部を前払い、前受けしていたら?
・商品の仕入原価は換算する?

代金の一部を前払い、前受けしていたら?

【設例1】
X1年3月25日、当店はアメリカの仕入先から商品100ドルを注文し、前払い金として20ドルを現金で支払った。
本日の為替相場は1ドル110円であった。

【仕訳】
(借)前払金 2,200
/(貸)現 金 2,200

【設例2】
【設例1】の続きとして、X1年3月31日、決算日を迎えた。
本日の為替相場は1ドル108円であった。

【仕訳】
なし

【合格直結の考え方】
【設例1】の前払金について、3/25に20ドルを支払い、この20ドルに関しては決済ずみなので、今後為替レート変動によって、支払額が変動する可能性はありません。
そこで、決算日の為替レートがいくらであっても、前払金について、もはや当日の為替レートで換算することはしません。

このことは、商品販売に際しての前受金に関しても同様です。

【設例3】
【設例2】の続きとして、X1年4月5日、【設例1】で注文した商品100ドルを仕入れ、注文時に支払ってある前払金20ドルを充当し残額は掛けとした。
本日の為替相場は1ドル105円であった。

【仕訳】
(借)仕 入 10,600
/(貸)前払金 2,200
/(貸)買掛金 8,400

【合格直結の考え方】
まず借方の仕入から、
「(借)仕入=100ドル×105円/ドル=10,500円」
としないように!

ここは、まず貸方から。
代金のうち20ドル分は、すでに支払い・決済ずみの2,200円(=20ドル×110ドル=3/25の為替相場での換算額で決済ずみ)
残額の80ドル分は、今後決済されるので、当日の為替レートで、80ドル×105円=8,400円

借方の仕入勘定に計上すべき金額は、この貸方の合計である10,600円となります。

商品の仕入原価は換算する?

【設例4】
【設例3】のつづきとして、X2年3月31日、決算日を迎えた。
【設例3】で仕入れた商品は未だ販売されず全て在庫として残っている。
ただし、ここでは売上原価算定の仕訳はしないものとし、為替換算の会計処理のみ、必要があれば行うものとする。

【仕訳】
なし

【合格直結の考え方】
売掛金や買掛金といった、今後決済に際し為替換算が必要になるもののみ、決算日時点の為替レートで換算する必要がありますが、商品の仕入原価は、取得時の換算額のままとします。

決算時為替レートで換算しない項目のまとめ
・前払金・前受金・商品(仕入原価)など、今後為替レート変動により支払いや受取額が変動する可能性のないものについては、決算日時点の為替レートで換算し直すことはしない