この講で学習すること
・損益の顛末は(日商簿記3級の復習)
・2級では、いきなり資本金を増やさない

損益の顛末は(日商簿記3級の復習)

【設例】(3級の復習)
損益勘定の記録によると当期の収益総額は¥2,800,000で費用総額は¥2,300,000であった。この差額を資本金勘定へ振り替える。
【仕訳】
(借)損 益 500,000
/(貸)資本金 500,000

この例題は、日商簿記3級の出題範囲ですが、覚えていますでしょうか?
▶▶▶スキマ簿記3級「損益振替」へ
過去には、日商簿記2級でも出題されたことがあります。

売上に始まり、受取利息や雑収入など、収益科目の残高の合計が¥2,800,000という設例です。もちろん、貸方残高ですね。
一方、仕入に始まり、消耗品費や通信費や支払利息など、費用科目の残高の合計が¥2,300,000です。こちらは、借方残高です。

損益勘定へ

収益合計の方が費用合計よりも¥500,000ほど大きいわけですから、この差額は当期純利益(儲け・黒字)です。
(ちなみに、当期純利益・当期純損失は勘定科目名ではありません。仕訳にも登場しません。)

ところで、収益や費用の各勘定は残高を次期に繰り越しませんから、残高は全て損益勘定へ振り替えます。

具体的には、総収益¥2,800,000(貸方残)は、反対仕訳で借方に計上することで、カラッポにします。
総費用¥2,300,000(借方残)も、反対仕訳で貸方に計上し、カラッポにします。

(借)総収益 2,800,000
/(貸)総費用 2,300,000
/(貸)???  500,000

この???に入るのが、「損益」勘定でした。

そしてこの損益勘定も、残高を次期に繰り越さずに、やはりカラッポにしなければなりません。

資本金勘定に振り替えるわけです。それが、冒頭の設例の解答の仕訳になります。

結局、総費用より総収益の方が大きい(当期純利益=黒字)の場合、資本金勘定が貸方で加算されて、資本金が増えることになります。(逆に、総費用>総収益で赤字なら、資本金が目減りすることになりますね。)

ここまでが、日商簿記3級の復習です。

2級では、いきなり資本金を増やさない

日商簿記2級でも、総収益と総費用の差額を損益勘定に振り替えるところまでは、上記3級の学習範囲と同じ手続きになります。

違ってくるのは、損益勘定の残高を、いきなり資本金勘定に振り替えないことです。

3級の場合、個人商店を想定しており、資本金=事業主の出資なので、事業主の元手が増えたことになります。
そこから、引き出して事業主個人のポケットに入れても、自由なわけです。

ところが2級の場合、株式会社を想定しています。

つまり、株主から出資を募って設立し、事業を行い、儲けが出たら、株主に配当金を出したり、その他の目的に積立をしたり、次期に繰り越したりと、儲け(繰越利益剰余金)の使い道がいくつかあるので、それに即した処理方法をとらなければなりません。

【株式会社における損益勘定の振替仕訳】
(総費用<総収益=黒字の場合)
(借)損益 XXX
/(貸)繰越利益剰余金 XXX
(総費用>総収益=赤字の場合)
(借)繰越利益剰余金 XXX
/(貸)損益 XXX

この、繰越利益剰余金の使い道に応じた処理方法については、次回学習します。

▶▶▶次講「剰余金の配当と処分」へ

当期純利益(純損失)と損益勘定のまとめ
・各収益科目・費用科目の勘定残高は全て、反対仕訳でカラッポにし、貸借差額は損益勘定に振り替える(次期に繰り越さない)
・損益勘定から、直接資本金勘定に振り替えるのは3級。
・2級では、損益勘定から、一旦繰越利益剰余金に振り替え、その上で配当や積立、次期への繰越と、使い道により処理する