この講で学習すること
・連結財務諸表作成の手順
・連結会計の特徴

連結財務諸表作成の手順

連結会計とは、親会社・子会社それぞれの個別財務諸表をもとに、親会社・子会社をあたかも一つの会社であるかのように見立てて、一つの財務諸表(連結財務諸表)を作るための会計でありますが、その手順(流れ)は次のとおりとなります。

連結財務諸表作成の手順
(1)個別財務諸表の単純合算

(2)連結修正仕訳

(3)連結財務諸表完成
(1)個別財務諸表の単純合算

まずは、親会社の個別財務諸表(の数字)と子会社の個別財務諸表(の数字)を、表示科目ごとに単純に合算します。
何も考えずに、単純に足し合わせます。

(2)連結修正仕訳

次に、前講でご紹介したような、親子会社間の取引を消去する修正仕訳を行います。
これを連結修正仕訳といいます。

(3)連結財務諸表完成

(1)の単純合算に(2)の修正を加減した結果を、収益・費用であれば連結P/Lに、資産・負債・純資産であれば連結B/Sに(さらに純資産については連結株主資本等変動計算書にも)転記すれば、連結財務諸表の完成です。

以上を一言でまとめれば、

(1)足して
(2)引く

です。

まあ厳密に言いますと、(2)の連結修正仕訳は引くだけでなく「足す」になることもあるんですが、それは後ほどご紹介します。
ただし、連結修正仕訳は「引く」ことの方が多いので、通常の仕訳の反対仕訳(借方と貸方が逆になる仕訳)が多くなります。
そこが特徴ですね。

連結会計の特徴

これから、連結会計とくに連結修正仕訳に関しての個別論点に入っていくわけですが、通常の期中の仕訳と異なり、理解に苦しむ内容もあるかと思います。
そこで、各論に入る前に、通常の期中の仕訳とは違う連結会計の特徴を、先に挙げておきたいと思います。

連結会計の特徴
(1)期中の勘定科目名ではなく、財務諸表の表示科目を使って仕訳する
(2)連結修正仕訳は、総勘定元帳の各勘定科目や個別財務諸表には一切反映されない
(3)連結財務諸表は、親会社(の株主)の視点で作られる

(1)期中の勘定科目名ではなく、財務諸表の表示科目を使って仕訳する

連結会計は、親会社・子会社それぞれの個別財務諸表(スタート)から連結財務諸表を作る(ゴール)ことです。
ですから、連結修正仕訳は、個別財務諸表上の科目、つまり表示科目で仕訳します。
「売上」ではなく「売上高」です。
「仕入」ではなく「売上原価」です。
「繰越商品」ではなく「商品」です。

(2)連結修正仕訳は、総勘定元帳の各勘定科目や個別財務諸表には一切反映されない

連結財務諸表は、親会社・子会社それぞれの個別財務諸表をベースに作ります。
個別財務諸表がスタートです。
つまり、期中の会計処理が全て終わり、個別財務諸表ができあがっているところからスタートします。
当然、総勘定元帳の各勘定は全て締め切られた後です。
ですから、総勘定元帳の各勘定科目や個別財務諸表には一切反映されません。
となると、何が起こるか?
それは、後ほどご紹介します。

(3)連結財務諸表は、親会社(の株主)の視点で作られる

親会社の個別財務諸表は、親会社の株主の目線で作られます。
子会社の個別財務諸表は、子会社の株主の目線で作られます。
連結財務諸表は・・・親会社の株主の目線で作られます。
子会社が100%子会社であれば、子会社の株主=親会社の株主ですが、もし親会社の取得比率が50%超~99%であれば、その他の子会社株主もいます。
これについても後ほど、「非支配株主持分」の講で学習します。

連結入門~連結会計のポイントのまとめ
・連結会計の手順は次のとおり「足して引く」
(1)個別財務諸表の単純合算
(2)連結修正仕訳
(3)連結財務諸表へ転記
・期中の仕訳とは違う連結会計の特徴は、
(1)財務諸表の表示科目で仕訳
(2)連結会計は個別財務諸表(各勘定)に一切反映されない
(3)親会社(の株主)の視点で行われる

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