この講で学習すること
・売買目的有価証券の期末評価方法(決算整理)
・切放法と洗替法とは
売買目的有価証券の時価評価とは
【設例】
売買目的で保有している帳簿価額¥100,000のA社株式を¥80,000で売却し、代金は翌月末に受け取ることとした。
¥100,000のものが貸方から出ていって、代わりに借方に入ってくるのが¥80,000なので、差額の¥20,000は「売却損」になるんですね。
【仕訳】
(借)未 収 入 金 80,000
(借)有価証券売却損 20,000
/(貸)売買目的有価証券 100,000
以上は、日商簿記検定3級の学習範囲である、有価証券の売却の復習でした。
【設例】
売買目的で保有している帳簿価額¥100,000のA社株式(時価¥80,000)について、本日決算日につき、必要な処理を行った。
売買目的有価証券は、売買してその価格差で儲けるために持っている有価証券なので、決算日時点では、買った時の金額(帳簿価額)ではなく、
「もし決算日に売ったらいくらになるか?」
という時価評価(帳簿価額を時価に置き換えること)をします。
これにより生じた評価差(帳簿価額と時価の差額)は、
帳簿価額>時価であれば「有価証券評価損」勘定
帳簿価額<時価であれば「有価証券評価益」勘定
あるいは、両方をひっくるめて「有価証券評価損益」勘定
を使って仕訳します。
【仕訳】
(借)有価証券評価損 20,000
(または有価証券評価損益)
/(貸)売買目的有価証券 20,000
もともと取得原価として借方に¥100,000分あった「売買目的有価証券」(資産)を、時価¥80,000に合わせて貸方から¥20,000分減らして、借方は費用・損失の「有価証券評価損」を計上している、という意味です。
切放法・洗替法とは
さて、このように決算時に時価評価に評価替えをし、次の会計期間に入っても、そのまま(設例で言えば評価下げした¥80,000のまま)で元に戻さず、次の決算時までそのまま帳簿価額としておく方法を「切放法」といいます。
一方、決算時に時価に評価替えし、貸借対照表や損益計算書に表現し、繰り越して次の会計期間に入ったら、期首に再び元の取得原価に評価を戻す方法を「洗替法」といいます。