この講で学習すること
・除却と廃棄の違い
・固定資産廃棄の会計処理方法
・廃棄費用が発生する場合

除却と廃棄の違い

前講で学習したように、固定資産が固定資産としての役割を終えて、固定資産じゃなくすことを「除却」といいました。
ただ、除却というのは固定資産として使わなくなっただけで、「貯蔵品」という資産にその名を変えて、まだ当社に保管されている状態です。
いくらかの価値がある貯蔵品として、下取りしてもらえればいいんですが、1円にもならないし「捨てる」となれば、固定資産の「廃棄」といいます。

除却との違いは、保管されて手元に残しているのではなく、外部に引き取ってもらうなど、完全に社内から消え去るのが、廃棄になります。

固定資産廃棄の会計処理方法

【設例】
当社は、平成X5年度期首に購入した取得原価¥1,000,000の備品を、平成X8年度期首に廃棄した。この備品については、耐用年数5年、残存価額ゼロとして定額法で償却、間接法で記帳してきた。

【合格直結の考え方】
耐用年数5年の備品ですが、平成X5年度期首購入で平成X8年度期首に丸3年で廃棄。
これまでの減価償却累計額も3年分です。
・年間減価償却費=取得原価1,000,000円/耐用年数5年=200,000円/年
・減価償却累計額=200,000年/年×3年経過=600,000円
つまり、直接法的な考え方では、400,000円相当の備品(=取得原価1,000,000円-減価償却累計額600,000円)が、廃棄して無価値(=0円)になったというわけです。

【仕訳】
(借)備品減価償却累計額 600,000
(借)固定資産廃棄損   400,000
/(貸)備      品 1,000,000

廃棄費用が発生する場合

廃棄の場合、処分価値がゼロなだけでなく、廃棄・処分のための費用がかかる場合があります。
このような廃棄・処分のためにかかる費用は、固定資産廃棄損に含めて仕訳します。

【設例】
当社は、平成X5年度期首に購入した取得原価¥1,000,000の備品を、平成X8年度期首に廃棄した。この備品については、耐用年数5年、残存価額ゼロとして定額法で償却、間接法で記帳してきた。廃棄に際し、廃棄処分費用¥50,000を現金で支払った。

【合格直結の考え方】
廃棄処分費用以外は、前設例と同じ。
廃棄処分費用は、固定資産廃棄損に含めます。

【仕訳】
(借)備品減価償却累計額 600,000
(借)固定資産廃棄損   450,000
/(貸)備      品 1,000,000
/(貸)現      金   50,000

固定資産廃棄のまとめ
・除却は「貯蔵品」として手元に残っているが、廃棄は完全に消し去る
・処分費用が発生する場合は、固定資産廃棄損勘定に含める

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