この講で学習すること
・中間納付とは
・中間納付額の算出方法
・法人税、住民税及び事業税の仕訳タイミング
・中間納付の具体例

中間納付とは

前講で学習したように、法人税、住民税及び事業税(法人税等)は、1会計期間が終わって決算をし、損益計算書上で計算された税引前当期純利益に対し税率を掛けて、当期の法人税、住民税及び事業税(法人税等)を算出するので、翌期に入ってから確定申告・納税することになります。
通常の場合、企業では1会計期間を1年間とし、本決算を年度決算とする場合が多いですから、次年度にまとめて納税する企業がほとんどでしょう。

これに関して、税金の納付を受ける国(国庫)の立場からキャッシュフローを考えるとどうでしょう?

国の支出は当該年度から継続的に発生しているにも関わらず、税収は次年度にまとめて入ってきます。資金繰り的によろしくありません。

そこで、仮に、概算で半額ぐらいを先払いさせるのです。

これが中間申告・中間納付です。

中間納付額の算出方法

ではその「仮に、概算で半額ぐらい」ってのは、具体的にはどうやって金額を決定するのでしょうか?

通常は、前回の法人税等納税額(年間)の半額です。

もし、今期は業績が悪化して前回ほど納められそうにない場合は、中間決算(半期分)した、半期分の税額を算出した内容で中間申告し、中間納付します。

法人税、住民税及び事業税(法人税等)の仕訳タイミング

というわけで、法人税等の仕訳のタイミングとしては、まず中間申告・中間納付で仮払いをして、本決算・確定申告で年度額を確定し、精算する流れになります。
中間納付額は仮払いなので「仮払法人税等」勘定を使います。

1.中間申告・中間納付
前年度納付額の1/2(または中間決算による算定額)を仮で中間納付

【中間納付時の仕訳】
(借)仮払法人税等 XXX
/(貸)現金・預金  XXX

2.税額算定(決算整理時)・・・前講の復習
1会計期間の事業が終了し(決算が締まり)、損益計算書上で計算された税引前当期純利益に対し税率を掛けて、当期の法人税、住民税及び事業税(法人税等)を算出します。

【決算整理時の仕訳】
(借)法人税、住民税及び事業税 XXX
/(貸)仮払法人税等 XXX
/(貸)未払法人税等 XXX

借方は、費用としての「法人税、住民税及び事業税」勘定。
貸方は、まず中間納付した「仮払法人税等」勘定を反対仕訳(相殺)
年間税額と中間納付額の差額分を「未払法人税等」勘定。

このとき、万一、年間税額の方が中間納付額より少なくなった場合は、中間納付で納めすぎた税金が還ってくる(還付される)ので、「還付法人税等」勘定になります。当然ながら、借方に計上されます。

3.確定申告・確定納付
最後に、確定申告をし、本決算で算出された税額から中間納付分を差し引いた残額を納付します。

【納付時の仕訳】
(借)未払法人税等 XXX
/(貸)現金・預金  XXX

中間納付を含む法人税等の仕訳の具体例

(1)本日、法人税等の中間申告を行い、前年度分の納付額¥300,000の1/2を現金で納付した。

【仕訳】
(借)仮払法人税等 150,000
/(貸)現    金 150,000

(2)本日、決算日につき、当期の法人税¥250,000、住民税¥70,000、事業税¥30,000を見積もった。

【仕訳】
(借)法人税、住民税及び事業税 350,000
/(貸)仮払法人税等 150,000
/(貸)未払法人税等 200,000

(3)本日、法人税等の確定申告を行い、(2)の法人税、住民税及び事業税のうち中間納付額を除いた残額を現金で納付した。

【仕訳】
(借)未払法人税等 200,000
/(貸)現    金 200,000

中間納付のまとめ
1.【中間納付】まず、前回納付額の1/2で仮払いする
2.【決算】本決算で確定の税額を算出する
3.【確定申告】2.から1.の仮払い分を引いた残額を納付する

▶▶▶次講「中間納付だけじゃない仮払法人税等」へ