この講で学習すること
・有価証券の取得時の注意点(3級の復習)
・有価証券の売却損益~3級と2級の違いとは?
・払出単価の計算(移動平均法・総平均法)

有価証券の取得時の注意点(3級の復習)

【設例】
A社株式20株を@¥1,000で買い入れ、代金は買入手数料¥2,000とともに来月末に支払うこととした。
【仕訳】
(借)有価証券 22,000
/(貸)未 払 金 22,000

購入時の注意点は、付随費用を取得原価に含めること。
これは、有価証券の場合に限らず、商品仕入や固定資産の取得の場合も同じでした。

有価証券の売却損益~3級と2級の違い

【設例】
かねて@¥1,100で20株取得していたA社株式のうち、10株を@¥1,200で売却し、代金は来月末に受け取ることとした。
【仕訳】
(借)未収入金 12,000
/(貸)有価証券    11,000
/(貸)有価証券売却益 1,000

ここまでが、日商簿記3級の有価証券の復習です。
ではこれが、日商簿記2級になるとどう変わるか?

【設例】
かねて@¥1,000で10株、@¥1,200で10株いずれも売買目的で取得してあったA社株式のうち、10株を@¥1,200で売却し、代金は来月末に受け取ることとした。

まずは、単なる有価証券に「売買目的」が加わること。
そして、取得単価の異なる有価証券を売却する場合、払出単価をいくらにするか?
先に@¥1,000で取得した方を売却したのなら、@¥200の売却益が出る。
後に@¥1,200で取得した方を売却したのなら、同じ単価で売却したことになるので、売却損益はゼロ。
前者のやり方、つまり先に取得した方から先に払い出すのを「先入先出法」
逆に、後から取得した方を先に払いだすやり方を「後入先出法」
といいますが、有価証券の場合は、どちらも不正解。
有価証券の場合は、「総平均法」か「移動平均法」で計算することになっています。
(総平均法と移動平均法の違いについては、棚卸資産の払出単価の講を復習してください)
移動平均法と先入先出法の復習は・・・
▶▶▶スキマ簿記3級「商品有高帳」へ

この設例では、平均単価の@¥1,100が払出単価になります。

【仕訳】
(借)未収入金 12,000
/(貸)売買目的有価証券 11,000
/(貸)有価証券売却益   1,000

有価証券の取得と売却のまとめ
・売買目的で取得した有価証券は「売買目的有価証券」
・取得時にかかる手数料などの付随費用も、取得原価に含める
・異なる単価で取得した有価証券を売却する場合、その払出単価は総平均法または移動平均法で計算する

▶▶▶次講「債券の最重要テーマその1.償却原価法」へ
(参考)
▶▶▶「売買目的有価証券の期末評価」へ