この講で学習すること
・外貨建取引の換算と記帳方法
・代金決済時の為替レート差処理とは
外貨建取引の換算と記帳方法
外国相手に仕入(輸入)や販売(輸出)などの取引を行う際、相手が日本円で決済に対応してくれればよいのですが、ドルやユーロなどの外貨建てで支払いしてきたり、支払いを求められた場合、外貨での取引を日本円に換算して記帳しなければなりません。
例えば、ドル建てで売り上げた場合、代金として得られたドルを日本円に両替(換算)して記帳します。
また、ドルで支払いを求められた場合、日本円を両替してドルを用意しなければなりません。
そこで、1ドル=いくら(円)になるかは、為替レート(為替相場)をもとに決まります。
つまり、外貨建てで仕入や売上を行った場合、その取引当日の為替レートを用いて、日本円に換算し、会計処理(記帳)することになります。
【設例1】
(1)3月8日、アメリカの仕入先より商品100ドルを掛けで購入した。この時の為替相場は1ドル¥120であった。
(2)3月16日、アメリカの得意先に商品1,000ドルを輸出し代金は掛けとした。この時の為替相場は1ドル¥118であった。
(1)取引当日(3/8)の為替レート$1=¥120を使って、100ドルを日本円に換算します。
(2)取引当日(3/16)の為替レート$1=¥118を使って、1,000ドルを日本円に換算します。
【仕訳】
(1)
(借)仕 入 12,000
/(貸)買掛金 12,000
(2)
(借)売掛金 118,000
/(貸)売 上 118,000
代金決済時の為替レート差処理とは
【設例2】
(3) 4月8日、(1)の商品代金100ドルを支払うために取引銀行でドルに両替し、当座預金口座より仕入先に送金した。支払時の為替相場は1ドル¥115であった。
(4) 4月16日、(2)の商品代金1,000ドルの送金があり、取引銀行で円貨に両替し当座預金口座に入金した。この日の為替相場は1ドル¥110であった。
(3)商品仕入時には¥12,000で計上しておいた買掛代金が、実際の支払いでは100ドル×115円=¥11,500で済みました。
浮いた¥500は?
「為替差損益」勘定に計上します。
この場合、支払うべき買掛金(負債)が減ってくれたので、「益」(貸方)のほうですね。
(4)は、逆に¥118,000で計上しておいた売掛金が、実際には¥110,000に目減りしました。この目減り分も「為替差損益」です。
この場合、もらえるはずの売掛金(資産)が減ってしまったので、「損」(借方)のほうですね。
【仕訳】
(3)
(借)買 掛 金 12,000
/(貸)当座預金 11,500
/(貸)為替差損益 500
(4)
(借)当座預金 110,000
(借)為替差損益 8,000
/(貸)売 掛 金 118,000