この講で学習すること
・連結会社間の貸倒引当金と繰入れの相殺消去

連結会計でやること
1.開始仕訳(過年度分の連結修正仕訳の復元)
2.当該年度の連結修正仕訳
(1)のれんの償却
(2)子会社の当期純利益
(3)子会社の配当
(4)その他親子会社間取引の相殺消去
のうち、この講では(4)その他親子会社間取引の相殺消去について学習します。

連結会社間の貸倒引当金と繰入れの相殺消去

連結グループの親会社・子会社間で売上債権・売上債務(売掛金・買掛金・受取手形・支払手形)が期末残高として個別B/Sに載っている場合、連結修正仕訳で相殺仕訳することについては、すでに学習しました。
(復習)▶▶▶「連結会社間取引の相殺消去(1)会社間売上」へ

期末残高として売掛金や受取手形といった売上債権があるということは、そこに貸倒引当金を計上している場合があります。
つまり、子会社に対する売掛金・受取手形が期末残高にある場合、それらを相殺消去するだけでなく、それらを対象に計上されている貸倒引当金・貸倒引当金繰入についても、合わせて相殺消去する必要があります。

【設例】
P社は、X1年度末において子会社であるS社に対して売掛金¥8,000が未決済のままであった。
なお、P社は、期末の売掛金残高に対して2%の貸倒引当金を設定している。
X1年度の連結修正仕訳をしなさい。

【連結修正仕訳】
(借)買 掛 金 8,000
(借)貸倒引当金   160
/(貸)売 掛 金 8,000
/(貸)貸倒引当金繰入 160

【合格直結の考え方】

売掛金・買掛金について

・親会社であるP社の個別B/Sに資産として借方に計上されている売掛金のうち、子会社であるS社に対する売掛金¥8,000を貸方で相殺消去
・子会社であるS社の個別B/Sに負債として貸方に計上されている買掛金のうち、親会社であるP社に対する買掛金¥8,000を借方で相殺消去

貸倒引当金について

・親会社であるP社の個別B/Sに資産のマイナスとして計上されている貸倒引当金のうち、子会社S社に対する¥160(=売掛金残高¥8,000×2%)を借方で相殺消去
・親会社であるP社の個別P/Lに販管費として計上されている貸倒引当金繰入のうち、子会社S社に対する¥160を貸方で相殺消去

連結会社間取引の相殺消去(3)貸倒引当金と繰入のまとめ
・連結グループの親子会社間での売上債権に対し、貸倒引当金が設定されていた場合は、連結修正仕訳として次のように相殺消去
(借)貸倒引当金 XXX
/(貸)貸倒引当金繰入 XXX

▶▶▶次講「連結会社間取引の相殺消去(4)未実現利益」へ