この講で学習すること
・帳簿残高と銀行残高の差異要因(再掲)
・銀行勘定調整表の基本フォーマット作成法

帳簿残高と銀行残高の差異要因(再掲)

前講「銀行勘定調整表~差異要因」の【設例】で学習しました差異要因(1)~(7)を使って、銀行勘定調整表を作成します。
まずは、前講の差異要因(1)~(7)を再掲します。

【設例】当社当座預金勘定残高と銀行残高証明書残高との差異要因
(1)¥1,000の買掛金支払いのために小切手を振り出した際、誤って¥10,000と記帳していた。
(2)¥2,000の外注費支払いのために小切手を振り出した際、誤って¥200と記帳していた。
(3)¥3,000の手形代金の当座預金口座への振込みがあったが当社に未通知であった。
(4)¥4,000の水道料金の引落しが当座預金口座からあったが当社に未通知であった。
(5)¥5,000の未払金の支払いのために振り出した小切手が未渡しのまま手元にあった。
(6)¥6,000の小切手を仕入先に振り出したが、未だ銀行に呈示されていない。
(7)¥7,000を銀行の夜間金庫に預け入れたが、銀行では翌日の当座預金入金として処理された。

銀行勘定調整表の基本フォーマット作成法

これら差異要因(1)~(7)を、次の銀行勘定調整表の標準フォーマットに落とし込みます。
銀行勘定調整表標準様式

 

 

 

 

上のフォーマットでは、当社の帳簿上の当座預金勘定残高が¥38,800に対し、銀行残高が¥49,000と、差し引き¥10,200のギャップが生じています。
このギャップについて、(1)~(7)の差異要因を、それぞれ、当社の当座預金勘定(帳簿)を直すべきものは、左半分に加減します。この際、プラス(加算)するものと、マイナス(減算)するものに分けて記入します。
一方、当社の帳簿は修正せず、銀行側を修正すべき要因については、右半分に記入します(加算・減算別に)。
前講の仕訳としては、「仕訳なし」だった差異要因であっても、銀行勘定調整表にはもちろん記入します。
(1)
【仕訳】
(借)当座預金 9,000
/(貸)買 掛 金 9,000
なので、当座預金勘定残高(左側)の加算欄に¥9,000。
(2)
【仕訳】
(借)外 注 費 1,800
/(貸)当座預金 1,800
なので、当座預金勘定残高(左側)の減算欄に¥1,800。
(3)
【仕訳】
(借)当座預金 3,000
/(貸)受取手形 3,000
なので、当座預金勘定残高(左側)の加算欄に¥3,000。
(4)
【仕訳】
(借)水道光熱費 4,000
/(貸)当座預金  4,000
なので、当座預金勘定残高(左側)の減算欄に¥4,000。
(5)
【仕訳】
(借)当座預金 5,000
/(貸)未 払 金 5,000
なので、当座預金勘定残高(左側)の加算欄に¥5,000。
(6)
仕訳なしですが、銀行側を修正します。
小切手を渡した相手がいつ銀行に持っていって換金するかを待たず、小切手を切った時点で当座預金を減らした状態に合わせ、銀行残高を減らします(=銀行側・減算)。
(7)
同じく、仕訳なしですが、銀行側を修正します。
時間外でも当日中に入金した当社の当座預金増を「正」とし、銀行残高を増やします(=銀行側・加算)。

以上を記入した銀行勘定調整表の基本フォーマットは次のとおりとなります。

銀行勘定調整表標準フォーム記入済

 

 

 

 

 

次講では、当座預金勘定残高からスタートして銀行残高に合わせるフォーマットと、逆に、銀行残高からスタートして当座預金勘定残高に合わせるフォーマットを学習しますが、基本は今回のフォーマットがベースになりますので、差異要因が「なぜ、どうだから、帳簿or銀行を加算or減算するか」を丁寧に理解しておいてください。

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銀行勘定調整表(基本フォーマット)作成法のまとめ
差異要因のうち
1.「借方=当座預金」と修正仕訳されるものは、帳簿残高側の加算項目に
2.「貸方=当座預金」と修正仕訳されるものは、帳簿残高側の減算項目に
3.「修正仕訳なし」のものは、銀行残高側へ(加算or減算は、差異要因の内容から判断)