この講で学習すること
・耐用年数を使わない、もう一つの減価償却方法とは
・生産高比例法による減価償却費の求め方(公式)

生産高比例法とは

これまで学習してきました定額法、定率法ともに、当該固定資産の耐用年数にわたって減価償却をしました。
それは、耐用年数というのが、平均的に使用できて、それにより収益が上げられる期間と見積もられるからです。
しかし、固定資産のタイプによっては、使用頻度によって耐用年数が変わってくるものもあります。
頻繁に使用していれば、それだけ製品寿命が短くなり、逆にあまり使っていなければ、比較的寿命が長くなるような固定資産です。
例えばクルマ。
年数もありますが、走行距離により、寿命が違ってくるタイプの固定資産といえます。
このように、一律の耐用年数よりも、使用の度合いに比例して減価償却する方法を、生産高比例法といいます。
クルマのほかには、航空機や鉱山設備などが適しています。

生産高比例法による減価償却(設例)

では設例として、クルマを生産高比例法により減価償却させることとします。
取得原価¥1,200,000、走行可能距離(見込み)10万km、残存価額ゼロとします。
とある会社の営業部門で使っている商用車は、頻繁に使うため、丸3年で10万km走行しました。
年次の内訳は、1年目で5万km、2年目で3万km、3年目で2万kmでした。
生産高比例法では、この各年次の走行距離の、総走行可能距離に対する割合を償却率にします。
例えば、1年目であれば、10万km走れるうちの5万kmを走行したわけですから、5/10、つまり0.5を償却率として、取得原価に掛けて減価償却額を算出します。
2年目であれば3万km/10万kmで0.3が償却率
3年目は、2万km/10万kmで0.2が償却率です。

生産高比例法例1

一方、同じ車種の商用車を総務部門でも保有しています。
こちらは営業部門ほどは頻繁に使用しないので、丸5年かけて10万kmに到達しました。
年次の内訳は、1年目=2万km、2年目=3万km、3年目=2万km、4年目=2万km、5年目=1万km

営業部門と同じクルマなのに、こちらは利用頻度が少ないので5年もつようです。
減価償却費計算は、
1年目:2万km/総走行可能距離10万km=償却率0.2
2年目:3万km/10万km=償却率0.3
3年目:2万km/10万km=償却率0.2
4年目:2万km/10万km=償却率0.2
5年目:1万km/10万km=償却率0.1
になります。

生産高比例法2

この設例で、生産高比例法による減価償却費の計算方法(算出式)は何となくお分かりだと思いますが、まとめると次のようになります。

生産高比例法による減価償却のまとめ
・耐用年数(時間)による費用配分ではなく、使用量に比例配分するのが、生産高比例法
・生産高比例法における償却率
当期の使用量/総使用可能量(見込)

解ける!過去問レベル問題演習

次の取引について、下記の語群から勘定科目を選んで仕訳してください。
当社は、決算にあたり保有している営業車の減価償却を生産高比例法により行い、間接法により記帳する。なお、当該営業車の取得原価は¥2,000,000、残存価額は取得原価の10%、総走行可能距離は100,000km、当期の走行距離は15,000kmであった。
(語群:車両・減価償却累計額・固定資産売却益・減価償却費・固定資産売却損)

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