この講で学習すること
・投資>資本の場合
・のれんの償却
・投資<資本の場合

投資>資本の場合

前講で学習した「投資と資本における相殺消去」では、相殺消去する投資(親会社における「子会社株式」)の額と、資本(子会社における純資産)の額が一致している例でした。
企業合併の講でご紹介した、被合併会社の時価評価された純資産と、対価として合併会社から交付された株式の額が一致しない場合と同様に、連結会計における投資と資本の相殺消去に際しても、親会社の投資額と子会社の資本額に差額が発生することがあります。
このような場合、企業合併の場合と同様に「のれん」が登場します。

(復習)▶▶▶「のれんと負ののれん」へ

【設例1】
P社はX0年度末(X0年3月31日)に、以前から活動しているS社の株式100%を12,000円で取得した。
X0年度末の個別貸借対照表は次のとおりである。
これらに基づき、X0年度末の連結貸借対照表を作成しなさい。

投資と資本の相殺消去例題B/S(のれんあり)

 

 

 

 

 

 

すべきことは「投資と資本の相殺消去」なので、親会社の投資(子会社株式)と子会社の資本(資本金+資本剰余金+利益剰余金)に着目します。
投資と資本の相殺消去例題B/S(のれんあり2)

 

 

 

 

 

親会社の借方にある「子会社株式」(投資)は、相殺消去するために貸方に、
子会社の貸方にある「資本金」「資本剰余金」「利益剰余金」は、借方に、
逆仕訳をします。
すると、連結修正仕訳としては、

となります。

借方=貸方になりません。

そこで、差額に「のれん」を使って、

(借)資 本 金 5,000
(借)資本剰余金 3,000
(借)利益剰余金 2,000
(借)の れ ん 2,000
/(貸)子会社株式 12,000

という仕訳にします。

連結精算表(簡易例のれんあり)

 

 

 

 

 

 

 

連結B/S(のれんあり例)

のれんの償却

この「のれん」は、連結財務諸表にのみ登場し、親会社・子会社の各個別財務諸表には載りませんが、扱いとしては、合併の場合ののれん、つまり無形固定資産(目に見えないブランド力、超過収益力)と同じです。
ですから、連結財務諸表上、最長20年にわたって償却をすることになります。

【設例2】
【設例1】の続きとして、P社はX1年度末(X1年3月31日)決算を迎えX1年度の連結財務諸表を作成した。
のれんは最長期間にわたって均等償却するものとする。
連結修正仕訳を示しなさい。

【連結修正仕訳】

(借)のれん償却 100
/(貸)の れ ん 100

投資<資本の場合

【設例1】において、S社の株式100%を12,000円ではなく、8,000円で取得した場合はどうなるでしょうか?
この場合、

(借)資 本 金 5,000
(借)資本剰余金 3,000
(借)利益剰余金 2,000
/(貸)子会社株式 8,000

となって、今度は貸方に「のれん」が発生します。

このように、貸方にのれんが発生する場合も、合併の場合と同様に、「負ののれん発生益」で処理します。

(復習)▶▶▶「のれんと負ののれん」へ

(借)資 本 金 5,000
(借)資本剰余金 3,000
(借)利益剰余金 2,000
/(貸)子会社株式    8,000
/(貸)負ののれん発生益 2,000

負ののれんの場合、「発生益」とありますように、発生した期に全額、特別利益として吐き出してしまいます(償却のようなことはしません)。

投資と資本に差額がある場合~のれんの発生のまとめ
・連結修正仕訳における投資と資本の相殺消去の際、
投資>資本であれば、借方に「のれん」
投資<資本であれば、貸方に「負ののれん発生益」
・「のれん」は最長20年で均等償却、「負ののれん発生益」は発生時の特別利益

▶▶▶次講「投資と資本の相殺消去~非支配株主の登場」へ