この講で学習すること
・なぜリース会計が日商簿記2級に加わったのか?
・レンタルとは違うの?
・ファイナンス・リースとオペレーティング・リース
なぜリース会計が日商簿記2級に加わったのか?
ご存じの方も多いかと思われますが、リース会計は平成28年度までは日商簿記1級の出題範囲でありました。
これからご紹介するように、「ファイナンス・リース取引」と「オペレーティング・リース取引」の言葉自体が難しい感じですし、その意味や違いの理解も難しいですし、オマケに利息の処理まであるので、難易度的には1級相当とされてきました。
そんなに難しいそうなヤツが、どうして2級に下りてきたのか?
出題する日本商工会議所によると、日商簿記2級が対象とする中小企業でも、リース取引が普及して、実務でリース会計の知識が必要とされるようになってきたから、ということです。
では、なぜ、中小企業でリース取引がメジャーになってしまったのか?
中小企業側の立場で考えますと、事業に必要な設備や備品であっても、固定資産の購入で一時的に大きな出費が生じるのは、資金繰りの観点からは、イタイところ。
さらに、税金の観点からは、経費として損金処理できるのは、減価償却費分だけです。
(つまり、キャッシュの上では大きな出費をしてるのに、税金は減価償却費分しか減らない、ということ)
そこで、実際のキャッシュアウトも、月額のリース料として、使用期間にわたって均等化できるリース取引が重宝されるようになってきたわけです。
ではなぜリース会計は難しいのか?
レンタルとは違うの?
「毎月のリース料支払いを経費(費用)計上する仕訳なんじゃないの?」
と考えると、リース取引の何が難しいのか、疑問です。
レンタルの考え方ですね。
もちろん、レンタルとほぼ同じ考え方で会計処理できるリース形態もあります。それを
「オペレーティング・リース取引」
といいます。
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ファイナンス・リースとオペレーティング・リース
では、このようなレンタルに近い考え方のオペレーティングリースとは違うリース形態があるのでしょうか?
それが、「ファイナンス・リース取引」です。
【ファイナンス・リースとオペレーティング・リース】
ファイナンス・リース
(1)解約できない
かつ
(2)コスト全額負担(フルペイアウト)
オペレーティング・リース
ファイナンス・リース以外のリース取引
ファイナンス・リースとは、ぶっちゃけて言えば、資産をローンで買うようなものです。
(ただし、家をローンで買えば所有権は買主ですが、リースの場合は、所有権は原則貸主です)
リース会社は、借主から指定されたリース物件をメーカーから新品で購入し、それをそのまま借主に引き渡し、リース料を受け取るのです。
借主のためだけに購入したリース物件ですから、途中で解約されたら困ります。また、リース資産の対価を(分割払いの利息も含めて)全額借主に負担してもらいます。
それが、ファイナンス・リース取引です。
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