この講で学習すること
・冬のボーナス支給の仕訳
・夏のボーナス支給の仕訳
・賞与引当金の繰り入れ
・賞与引当金を使ったボーナス支給の仕訳
冬のボーナス支給の仕訳
毎月の給料とは別に、ボーナス(賞与)が支給されることがあります。
だいたい、年に2回(3回の会社もたまにありますが)、夏と冬に支給されます。
支給条件として、決められた支給対象月に在籍していることが条件になっている場合が多いようです。
例えば、冬の12月のボーナスであれば、4月~9月の間在籍し、その間の成績や勤怠状況により、支給がなされる、といった具合です。
【設例1】
X8年12月15日、本年4月~9月に在籍した従業員10名を対象に、総額¥6,000,000の賞与を、当座預金口座から対象の各従業員口座へ振り込んだ。なお、当社の会計期間は4/1~3/31である。
【仕訳】
(借)賞 与 6,000,000
/(貸)当座預金 6,000,000
「賞与」は勘定科目名で、「給料」勘定と同じように、費用(労務費)の勘定です。
では、問題文の終わりにある「当社の会計期間は~」は、仕訳となんの関係があるのか?
夏のボーナス支給の仕訳
【設例2】
X9年6月15日、昨年10月~今年3月に在籍した従業員10名を対象に、総額¥6,000,000の賞与を、当座預金口座から対象の各従業員口座へ振り込んだ。なお、当社の会計期間は4/1~3/31である。
今度も同じように「賞与」勘定で仕訳してしまうと、それでは当期の費用になってしまいます。
この6月支給のボーナスは、前期にあたる10月~3月分の費用として計上、前期のP/Lに表現されなければなりません。
ではどうするか?
賞与引当金の繰り入れ
6月賞与の支給対象となる10月~3月分について、その3月末決算時に、費用として計上しちゃいます。
具体的には、「賞与引当金繰入」勘定で費用計上し、賞与引当金勘定にストックしておきます。
【3/31の決算整理仕訳】
(借)賞与引当金繰入 6,000,000
/(貸)賞与引当金 6,000,000
賞与引当金を使ったボーナス支給の仕訳
【設例2’】
X9年6月15日、昨年10月~今年3月に在籍した従業員10名を対象に、総額¥6,000,000の賞与を、当座預金口座から対象の各従業員口座へ振り込んだ。なお、当社の会計期間は4/1~3/31であり、賞与引当金残高は¥6,000,000であった。
【仕訳】
(借)賞与引当金 6,000,000
/(貸)当座預金 6,000,000
ところで、3月決算の会社で、1月~6月を支給対象としたボーナスを、7月に支給する場合はどうなりますでしょうか?
まず、3月末の決算整理では、1月~3月分に関し、賞与引当金を繰り入れます。
【決算整理仕訳】
(借)賞与引当金繰入 3,000,000
/(貸)賞与引当金 3,000,000
仮に、1か月あたり¥1,000,000とすると、以上の仕訳になります。
そして、7月の支給時点の仕訳は、
【仕訳】
(借)賞与引当金 3,000,000
(借)賞 与 3,000,000
/(貸)当座預金 6,000,000
というように、前期に属する1月~3月分は、前期末決算で繰り入れてあった賞与引当金を使い、当期に属する4月~6月分は、当期の費用である「賞与」勘定を使います。
日商簿記3級の学習範囲でやった、費用の見越しに似てますね。