この講で学習すること
・財務諸表は4つある
・株主資本等変動計算書とは何か
・株主資本等変動計算書のしくみ(基本)
・株主資本等変動計算書のつくり(一般的な様式)
財務諸表は4つある
実は財務諸表には4種類あります。
- 貸借対照表(B/S)
- 損益計算書(P/L)
- キャッシュフロー計算書(C/F)
- 株主資本等変動計算書(S/S)
日商簿記3級では、貸借対照表と損益計算書の2つを学習しましたが、2級では、株主資本等変動計算書が登場します。
ちなみに、キャッシュフロー計算書は、日商簿記1級の学習範囲です。
株主資本等変動計算書とは何か
ではこの長ったらしくて難しそうな名前の財務諸表は何なのか?
ぶっちゃけて言えば、貸借対照表の純資産の部の明細です。
「なら、貸借対照表と同じじゃん?」
そうですね。実は、数年前まではこんな「株主資本等変動計算書」なんてものは、財務諸表として、ありませんでした。
なんで勉強の手間を増やすような余計な財務諸表ができたのか?
それは、純資産の部の項目が増えたり、株主への配当が何回でもできるようになったりと、近年ではこの純資産に関する取引が増え、貸借対照表だけでは、株主に必要な情報が足りないと判断され、純資産の部に関する明細を別途設けることになったわけです。
名前は長ったらしくて難しそうですが、4つの財務諸表のなかでは、もっとも分かりやすいつくりです。
株主資本である資本金・資本剰余金・利益剰余金についてそれぞれ、期首残高(繰越)・期中変動・期末残高を埋めるだけです。
こんなの、複式簿記じゃありません。預金通帳と同じ単式簿記ですよ。
株主資本等変動計算書のしくみ(基本)
例えば、純資産の期首残高(スタート)が
資本金=¥10,000、資本剰余金=¥5,000、利益剰余金=¥3,000
だったとしましょう。
期中に増資が行われたとします。
¥2,000分新株を発行し、会社法で定める最低限度額を資本金に計上したとします。
「会社法で定める最低限度額」って覚えてますか?
資本金に計上しない残額は何に計上するか、覚えてますか?
(▶▶▶増資の復習へ)
「会社法で定める最低限度額」は1/2で、残り半分は資本準備金に計上するんでした。
資本準備金は、大きく分けると資本剰余金に含まれますので、この場合、資本金と資本剰余金の欄にそれぞれ¥1,000ずつ記入します。
期中の変動がこれだけであれば、期首残高に加えて、期末残高を埋めて、次のとおり株主資本等変動計算書は出来上がりです。
シンプルでカンタンでしょ?
株主資本等変動計算書のつくり(一般的な様式)
でも、作る側にとってはカンタンですが、別の人がこの表だけ見ても、どういう要因で資本金と資本剰余金が¥1,000ずつ増えたんだか、わかりません。
また、資本剰余金や利益剰余金の内訳も(資本準備金なのかそのた剰余金なのか・・・)もわかりません。
そこで、実際の株主資本等変動計算書には、
- (タテの項目)当期変動額の内訳として、どんな要因で変動したのか?増資なのか、合併なのか、株主への配当なのか、積立金への積立なのか、といった変動要因の内訳の欄が追加されます。
- (ヨコの項目)株主資本の内訳として、資本剰余金の内訳と利益剰余金の内訳の欄が追加されます。
こうして、次のような表になるわけです。
で、こうなってくると「難しい」と思ってしまうわけですが、内訳の欄が増えているだけであって、あくまで基本は、先にご紹介したような、純資産の種類に対し、繰越・変動・残高を記載する「預金通帳」と同じなのです。
次講では、この標準的な株主資本等変動計算書のフォーマットを使って、「変動」(増資・合併・配当・積立など)させて表を完成させるという、日商簿記2級本試験レベルの学習をしましょう。