日商簿記2級の学習範囲は、3級の学習内容をベースに、さらにハイレベルな内容を積み上げていくイメージです。
では、具体的に、日商簿記3級で学習した内容からどうレベルアップするのでしょうか?
現金・預金
【3級】現金の範囲(通貨代用証券)・現金過不足・当座預金・当座借越
【2級】銀行勘定調整表
現金に関しては、3級の学習範囲(現金の範囲・現金過不足)だけで、2級の新たな論点はありません。
唯一、当座預金に関して、帳簿上の残高と銀行口座残高の不一致の原因とそのギャップを埋めるための「銀行勘定調整表」を学習します。
商品売買
【3級】3分法・分記法、返品・値引、商品払出単価の計算(移動平均法・先入先出法)
【2級】売上原価対立法、割戻・割引、商品払出単価の計算(総平均法)、収益の認識、役務収益
3級では仕入・売上時の仕訳方法である3分法と分記法を学習しましたが、2級では新たに「売上原価対立法」という処理方法を学習します。
また、3級で学習した返品に加えて、2級では割戻と割引を学習します(それぞれ、どう違うのか?)。
商品払出単価の計算方法として、3級の移動平均法と先入先出法に加えて、総平均法を学習します。
さらに、商品ではなくサービスを提供することによる役務収益・役務費用についても学習します。
手形
【3級】約束手形、電子記録債権・電子記録債務
【2級】手形の裏書譲渡、手形の割引、手形の不渡り、手形の更改、営業外約束手形、電子記録債権の譲渡・割引
2級では、手形代金が満期日に決済されなかった場合の不渡りについて、さらに裏書譲渡や割引のように第3者が絡む場合の不渡りについて学習します。
また、不渡りにならないよう、満期日を延長した新しい手形を発行し直す「手形の更改」を合わせて学習します。
さらに、主たる商品の仕入や売上に使う手形ではなく、固定資産や消耗品などの購入に使う「営業外約束手形」も学習します。
そして、紙ベースの手形を電子化した「電子記録債権・債務」について、その譲渡や割引の場合も含めて学習します。
引当金
【3級】貸倒引当金(差額補充法による繰入・貸倒れ発生時・償却債権取立益)
【2級】貸倒引当金の個別評価、修繕引当金・(役員)賞与引当金・退職給付引当金・商品保証引当金・売上割戻引当金・返品調整引当金
2級では引当金の種類が増えますが、基本的には貸倒引当金と同じで、前期末に見込み額を繰入れ、次期以降に発生した場合に引当金を充てるというものです。
ただし、返品調整引当金は特殊な処理をしますので、注意深く学習する必要があります。
有価証券
【3級】なし
【2級】売買目的有価証券(端数利息)、満期保有目的債券(償却原価法)、子会社株式・関連会社株式、その他有価証券、期末評価
3級では有価証券の学習は出題範囲からなくなりましたが、2級では保有目的により4種類に区別します(売買目的有価証券・満期保有目的債券・子会社(関連会社)株式・その他有価証券)。特に難易度が高く重要なのは、端数利息と償却原価法です。
さらに、その4種類の有価証券に応じた期末評価方法(時価か取得原価か)、評価替え、B/S表示方法についても学習します。
固定資産
【3級】固定資産の取得、定額法による減価償却(間接法・月割計算含む)、売却
【2級】固定資産の除却、改良と修繕、200%定率法・生産高比例法による減価償却、建設仮勘定、無形固定資産、リース会計
2級では固定資産の学習範囲がグッと増えます。
まず減価償却方法について、定額法に加えて200%定率法と生産高比例法を学習します。
また、有形固定資産に加えて、無形固定資産(ソフトウェア・各種の権利・のれんなど)も学習範囲です。
さらに、以前は1級の出題範囲であったリース物件の会計処理についても、学習範囲に加わりました。
税金
【3級】租税公課、源泉所得税、法人税、消費税(税抜方式)
【2級】消費税(税込方式)
2級では、3級に引き続き、国税の2大巨頭である法人税と消費税を学習します。
消費税に関しては、3級で学習した税抜方式に加えて、2級では新たに税込方式の消費税処理方法を学習します。
決算
【3級】決算整理、精算表作成、損益振替、資本振替、勘定締切、損益計算書作成、貸借対照表作成
【2級】決算整理、精算表作成、損益振替、資本振替、勘定締切、損益計算書作成、貸借対照表作成、株主資本等変動計算書作成
というわけで、決算でやるべきことは、3級とあまり変わりありません。
ただし、債権別の貸倒引当金設定やその他の引当金設定、複数の計算方法による減価償却費計算など、決算整理事項の難易度が上がっています。
また、純資産の部の変動の内訳を明らかにする「株主資本等変動計算書」の作成が新たに加わります。
純資産
【3級】資本金
【2級】資本剰余金(資本準備金・その他資本剰余金)、利益準備金(利益準備金・その他利益剰余金(任意積立金・繰越利益剰余金))、評価・換算差額等(その他有価証券評価差額金)
3級では純資産の部といえば資本金・利益準備金・繰越利益剰余金を学習しましたが、2級では純資産の部の中身がさらに増えます。
株式会社なので、株主資本とそれ以外、そして株主資本の内訳ももともとの出資分なのか利益部分なのかなど細かく分かれてきます。
また、利益処分(配当や積立)といったテーマも、しっかりとした学習が必要な論点になります。
外貨建取引
【3級】なし
【2級】外貨換算会計(取引時・決済時・決算時。為替予約含む)
3級では登場しなかった外貨建て取引(ドルやユーロなどで取引したものの円換算)を学習します。
本支店会計
【3級】なし
【2級】本支店間の取引、支店間の取引、本支店合併財務諸表
支店を有し、支店で会計処理(記帳)を行う場合特有の会計処理方法について学習します。
また、最終的な決算では、本店と各支店の合併財務諸表を作成します。その際の注意点(内部取引の除外)などを学習します。そして、次なる連結会計への足掛かりとします。
連結会計
【3級】なし
【2級】投資と資本の相殺消去、開始仕訳、子会社の当期純利益、子会社の配当、連結会社間取引の相殺消去、未実現利益消去、連結精算表、連結財務諸表作成
有価証券で学習した親会社・子会社それぞれの財務諸表を、あたかも一つの会社であるかのように一つにまとめた財務諸表を作成するための連結会計が、2級の大きな学習のヤマ場になります。連結会計特有の考え方を理解できるよう、本サイトでも説明に工夫を凝らしてあります。
いかがですか?
これに工業簿記・原価計算が加わるとなると、2級に対して恐るべき印象を持たれるかもしれませんね。
でも、商業簿記と工業簿記を毎日1テーマずつ学習していけば、およそ3か月でマスターできます。
メルマガなどを利用して、1日1テーマずつ、コツコツ積み上げていきませんか?
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(工業簿記編は現在準備中です。。。)