この講で学習すること
・儲けに課税される法人税、住民税及び事業税
・法人税、住民税及び事業税の算出手順
・法人税、住民税及び事業税の仕訳タイミング

儲けに課税される法人税、住民税及び事業税

期中の費用として使われる租税公課と違い、法人税、住民税及び事業税は、決算整理の手続きに入ります。
それも、決算整理のかなり最後の方です。
なぜなら、全ての費用と収益の勘定残高を集約する損益勘定から弾き出される当期純利益に対し税率を掛けて算出される税金だからです。
しかし、法人税、住民税及び事業税も費用科目です。
つまりこれが決まらないと、損益計算書が完成せず、当期純利益が出ません。

法人税、住民税及び事業税の算出手順

では、当期純利益が先か、法人税等が先か。
答えは、まず法人税、住民税及び事業税以外の費用・収益より「税引前当期純利益」を出して、そこから税額を計算し、その税額を引いた最後の最後に「当期純利益」が出る、という順序です。

法人税、住民税及び事業税の仕訳タイミング

それでは、具体的に法人税等の仕訳が必要になる各タイミングにおける仕訳をご紹介します。
1.決算整理時
まずは、決算整理時に税引前当期純利益に対し税率を掛けて当期の法人税等を算出したタイミングにおける仕訳です。

【決算整理時の仕訳】
(借)法人税、住民税及び事業税 XXX
/(貸)未払法人税等 XXX

借方は、費用としての「法人税、住民税及び事業税」勘定。
貸方は、通常即納付はしませんので、納付までの間は「未払法人税等」勘定。
長ったらしいので「未払法人税、住民税及び事業税」とは言わず、未払法人税と省略しちゃう勘定名が一般的です。
2.納付時
次に、未払法人税等に計上した当該年度分の法人税、住民税及び事業税を、実際に納付する際の仕訳です。

【納付時の仕訳】
(借)未払法人税等 XXX
/(貸)現金・預金  XXX

貸方に負債として計上されてあった未払法人税等が借方で消去され、貸方からは実際の納付額が出金されるという仕訳です。

これで、儲けに対し課税される法人税、住民税及び事業税の仕訳は全てですが、これだけであればあんまり難しいことはありませんよね?
ところが、実際には中間納付という処理が加わります。
この中間納付に関しては、次講とします。
▶▶▶次講「法人税、住民税及び事業税の中間納付」へ

法人税、住民税及び事業税のまとめ
・まず決算整理として、税引前当期純利益に対し所定の税率で算出した税額を「法人税、住民税及び事業税」(費用)に計上し、貸方は「未払法人税等」にしておく
・翌期に入ってから、納期までに未払法人税等を納付する