この講で学習すること
・固定資産の2種類の修繕~修繕と改良
・修繕と改良の違い、仕訳方法の違い
・修繕の要素と改良の要素が混ざってる場合は
・収益的支出・資本的支出とは

建物や備品、車両や機械装置など固定資産に対する修繕は、大きく、修繕と改良の2つに分けられます。

修繕

一般的に「修繕」と呼ばれるものは、故障した部分の修理や、機能を維持するための定期的な補修のことです。

固定資産の修繕イメージ

つまり、現状の機能を回復、維持するために行うものを「修繕」といい、当期の費用「修繕費」として処理します。
もちろん、修繕引当金を設定していれば、まず引当金から充てて、不足分を修繕費として当期の費用処理とします。

【修繕の仕訳~引当金がない場合】
(借)修 繕 費 XXX
/(貸)現金・預金 XXX
【修繕の仕訳~引当金がある場合】
(借)修繕引当金 XXX
(借)修 繕 費 XXX
/(貸)現金・預金 XXX

改良

一方、固定資産のもともとの性能以上にするための修繕を「改良」と呼んで区別します。

改良イメージ

「もともとの性能以上」とは、性能アップして固定資産価値が向上したり、耐用年数が延長したりすることです。
(もっとも、日商簿記検定本試験では、「改良」とは言わず、どちらも「修繕」と呼んで、その修繕の性質でどちらか判断させる問題が多く出題されます)
改良により性能がアップすることは、当該固定資産の価値を向上させ、それによる生産性アップ(収益アップ)や耐用年数の延長は、当期だけに限らず、耐用年数のわたって影響することになるので、修繕費として当期の費用処理とするのではなく、その固定資産の評価(勘定残高)に加えます。
ですから、仕訳も次のようになります。

【改良の仕訳】
(借)(当該固定資産)XXX
/(貸)現 金 ・ 預 金 XXX

修繕と改良の混合型は

ところで、一連の修繕が、原状維持・回復のための「修繕」と、性能アップのための「改良」の要素を併せ持つ場合もあります。
その場合は、現状維持・回復部分と、性能アップの「改良」部分を、それぞれに該当する金額で分けます。
仕訳方法としては、まず「改良」相当の金額分を当該固定資産価値の加え、残りの「修繕」相当金額を、修繕費(修繕引当金)に仕訳します。

【修繕と改良混合の仕訳】
(借)(当該固定資産)XXX
(借)修 繕 引 当 金 xxx
(借)修  繕  費 XXX
/(貸)現 金・預 金 XXX

資本的支出と収益的支出

「修繕」「改良」ともに、修繕費用を貸方から支出するものですが、「改良」に伴う支出を「資本的支出」と呼び、当期の費用処理とする「修繕」に伴う支出を「収益的支出」と呼びます。
改良は、その支出が当期だけに影響するものではなく、改良による固定資産の価値アップが、物的資本として次の会計期間以降まで繰り越されるので、資本的支出と呼ばれます。
一方、当期の修繕費として処理する支出は、基本的に当期の費用として当期の収益とぶつけて当期の営業成績であるP/Lに反映させ、次期以降には影響しないので、収益的支出と呼ばれます。

修繕と改良のまとめ
・現状維持・回復のための修繕は、当期の費用=修繕費で処理(=収益的支出)
・性能アップのための修繕(改良)は、当該固定資産価値の追加として、耐用年数にわたって減価償却される(=資本的支出)