この講で学習すること
・営業外債権に対しても貸倒引当金設定
・貸倒引当金繰り入れの対象となる債権の一括評価(3級)と個別評価(2級)

営業外債権に対する貸倒引当金設定

日商簿記3級では、受取手形や売掛金といった、売上代金に係る債権=営業債権に対し、過去の実績などから見積もられた貸倒れ率(パーセント)をかけて、貸倒引当金を繰り入れました。
▶▶▶貸倒引当金繰入(3級)の復習は、「スキマ時間で簿記3級!~貸倒引当金(2)」へ
しかし、これら営業債権だけでなく、貸付金などの本来の営業活動(売り上げ)以外による債権についても、貸倒れのリスクがあります。

【設例】
決算日につき、受取手形、売掛金及び貸付金の期末残高に対して2%の貸倒れを見積もる。
ただし、貸倒引当金勘定の残高はゼロで、受取手形及び売掛金の期末残高(いずれも借方残)は次のとおりである。
受取手形:¥100,000
売 掛 金:¥ 50,000
貸 付 金:¥200,000
【仕訳】
(借)貸倒引当金繰入 7,000
/(貸)貸倒引当金   7,000

と、仕訳自体は何ら難しいものではありません。
しかし、日商簿記2級では仕訳だけでなく、財務諸表でどこにどう表示するかが問われるようになります。
まずは貸借対照表
営業外債権に対する貸倒引当金の貸借対照表表示
受取手形・売掛金・貸付金と、それぞれの科目から2%分を控除した形で、貸借対照表に表示します。

 

 

 

 

次に損益計算書
営業外債権の貸倒引当金PL表示(一括評価)
受取手形と売掛金に対する貸倒引当金繰入は販売費及び一般管理費ですが、主たる営業活動とは別の貸付金に対する貸倒引当金繰入は営業外費用のところに表示します。

債権の実績法による一括評価(3級の復習)

前項の設例のように、受取手形も売掛金も貸付金も、ひっくるめて同じパーセントをかけて貸倒引当金を繰り入れています。これを「一括評価」といいます。
そして、設例では貸倒率を2%と見込んでいます。
これは1%でも3%でもいいんです。
過去の貸倒率の実績から、パーセントを求めているのです。
なので「実績法」といいます。

個別評価

これに対し、全ての債権に一律のパーセントではなく、相手先や勘定科目によって、貸倒れ見込み率を別に設定する方法を「個別評価」といいます。

【設例】
期末における受取手形残高は¥100,000、売掛金残高は¥50,000、貸付金残高は¥200,000であった。
業績悪化のA社に対する売掛金¥20,000に関しては50%を貸倒引当金に設定し、その他の売上債権については、過去の貸倒実績率2%に基づき貸倒引当金を設定する。
貸付金については、債務者の財政状態が悪化したため、債権額から担保処分見込額¥100,000を控除した残額の50%と見積もって貸倒引当金を設定する。
なお、貸倒引当金の期末残高は¥2,600であり、このうち¥600が売上債権、¥2,000が貸付金に対するものである。
貸倒引当金の設定は差額補充法により行うものとする。

【合格直結の考え方】
A社に対する売掛金20,000×見込貸倒率50%=10,000
その他の売掛金30,000×見込貸倒率2%=600
受取手形100,000×見込貸倒率2%=2,000
貸付金(200,000-担保100,000)×見込貸倒率50%=50,000
で合計¥62,600ですが、差額補充法により、貸倒引当金期末残高¥2,600を差し引いて、

【仕訳】
(借)貸倒引当金繰入 60,000
/(貸)貸倒引当金   60,000

仕訳問題であればここまでですが、決算(精算表・財務諸表)で出題された場合、損益計算書と貸借対照表の表示は次のとおりとなります。
営業外債権の貸倒引当金BSPL表示(個別評価)