この講で学習すること
・スケジュールどおりの除却方法
・耐用年数到来前の除却方法
・耐用年数到来前の売却(3級の復習)

耐用年数経過後の除却

ここまで、定額法、定率法(200%定率法)、生産高比例法と減価償却方法を学習してきましたが、減価償却を終えた後はどうなるのでしょう?

備忘価額の1円まで減価償却し終えた固定資産で、処分価値はゼロの場合、もう固定資産として使用せず完全に除却する会計処理としては、直接法の場合、当該固定資産は1円だけ資産残高に残っているはずなので、それを消去します。

【仕訳】
(借)固定資産除却損 1
/(貸)(当該固定資産)1

(当該固定資産)のところには、建物や備品、車両運搬具など、除却対象とする固定資産の勘定科目が入ります。

これが、間接法の場合では、当該固定資産の勘定残高は借方に取得原価のまま残っており、貸方にはこれまでの減価償却額合計が減価償却累計額として積み上げられているので、双方とも反対仕訳で消去します。
例えば、取得原価¥100,000の備品で、1円まで減価償却済みであったとすると・・・

【仕訳】
(借)備品減価償却累計額 99,999
(借)固定資産除却損      1
/(貸)備       品 100,000

上記と同じ設例で、処分価値がゼロではなく、仮に100円の価値があると見積もられたら、どういう仕訳になるでしょうか?まずは分かりやすい直接法の場合、

【仕訳】
(借)貯 蔵 品  100
/(貸)(当該固定資産) 1
/(貸)固定資産除却益 99

1円の価値のモノが100円に化けるわけですから、差額99円は固定資産除却益になります。
では、100円の何に化けるのか?
売却が成立したわけではないので、未収入金ではありません。
あくまで、100円の価値があると見込まれるモノで、もう固定資産でも何でもないもの=「貯蔵品」になります。

一方、間接法で記帳している場合、先ほどと同じ取得原価¥100,000の備品であったとすると、

【仕訳】
(借)備品減価償却累計額 99,999
(借)貯   蔵   品   100
/(貸)備       品 100,000
/(貸)固定資産除却益      99

なにやら、難しい仕訳に見えますが、わからなくなったら、直接法で考えればいいんです。

耐用年数到来前の除却

以上のような、本来のあるべき姿である、きちんと耐用年数まで減価償却を終えてから除却する、というケースは、日商簿記検定ではあまり出題されません。
これからご紹介するような、まだ耐用年数を経過していない、つまり減価償却が途中で未償却残高が残っている状態での除却のケースが、よく出題されます。

【設例】
当店は、平成25年度期首に購入した取得原価¥1,000,000の備品を、平成28年度期首に除却した。この備品については、耐用年数5年、残存価額ゼロとして定額法で償却、間接法で記帳してきた。この備品の除却時の処分価額は¥100,000と見積もられた。

【合格直結の考え方】
耐用年数5年の備品ですが、平成25年度期首購入で平成28年度期首に丸3年で除却。
これまでの減価償却累計額も3年分です。
年間減価償却費=取得原価1,000,000円/耐用年数5年=200,000円/年
減価償却累計額=200,000年/年×3年経過=600,000円
つまり、直接法的な考え方では、400,000円相当の備品が、100,000の貯蔵品に化けたわけです。

【仕訳】
(借)備品減価償却累計額 600,000
(借)貯   蔵   品 100,000
(借)固 定 資 産 除 却 損 300,000
/(貸)備      品 1,000,000

耐用年数到来前の売却(3級の復習)

前項の耐用年数到来前の除却の仕訳ですが、見覚えありませんか?
「貯蔵品」を「未収入金」、「固定資産除却損」を「固定資産売却損」に置き換えれば、日商簿記3級で学習した、売却と同じになります。
逆にいえば、日商簿記3級で学習済みの固定資産の売却を、「貯蔵品」「固定資産売却損・益」に変えれば、除却もマスターというわけです。

固定資産の除却のまとめ
・基本的に売却と同じ考え方・仕訳
・除却し、価値が残れば、固定資産から「貯蔵品」勘定へ
・除却した際に生じる差額は「固定資産除却損」(または「固定資産除却益」)